後立山(長野/富山) 白馬岳(2932.3m) 2022年9月10日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:55 猿倉駐車場−−2:32 林道終点−−2:51 白馬尻−−3:34 雪渓に乗る−−3:41 左岸秋道−−4:41 避難小屋−− 5:19 村営頂上宿舎−−5:36 白馬山荘−−5:52 白馬岳 6:48−−6:56 白馬山荘−−7:05 村営頂上宿舎−−7:25 避難小屋−−8:00 大雪渓に乗る−−8:04 右岸秋道−−8:45 白馬尻−−8:56 林道終点−−9:06 長走沢−−9:23 猿倉駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県下新川郡朝日町
年月日2022年9月10日 日帰り
天候晴後ガス
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場猿倉に駐車場あり。ただし2022年も工事のため駐車場が縮小
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し。小雪渓の雪は消え、大雪渓の上を歩く距離は2,300mで傾斜が緩やかで慣れた人なら下りでも軽アイゼン不要
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
ここをクリックしてダウンロード。電源入れ忘れで往路の大半のログが欠損している
コメント9月に入っても大気の状態が不安定で昼頃から雨予報だが、その中でも最も天候が良さそうな白馬岳へ。秋になり大雪渓上を歩く距離は2,300m程度しかなく、狭く崩れやすい秋道歩きが長くて下山時はすれ違いに苦労した。日の出前はすっきり晴れていたが午前6時くらいからガスがかかり始めて7時くらいには完全にガスに覆われてしまったが、私が山頂にいたタイミングでは適度なガスの濃さでブロッケン現象だけでなく白い虹を見ることができた


山頂で出現した白い虹とブロッケン現象


深夜の猿倉駐車場。続々と車が上がってくる 今日はほぼ満月
白馬尻 標高約1900mで雪渓に乗る
標高約1950mで雪渓から左岸秋道へ 断続的にガスの中に入る
オリオン座。手持ちでもそれなりに写るもんだ 午前4時半(日の出1時間前)。東の空が白みだす
村営頂上宿舎の明かり 午前5時でライト不要な明るさになる
杓子岳、鑓ヶ岳に雲がかかるがこの後に取れた 村営頂上宿舎直下
水源の雪渓。早朝でもまだ水が出ていた 村営頂上宿舎
白馬山荘を見上げる。山頂にガスがかかっている 県境稜線に出た
白馬山荘 いつものように登りは白馬山荘東側を通る
日の出を迎える。この時間はやや霞んでいたが八ヶ岳、富士山、南アルプスも見えていた
ヒトツバヨモギ タカネイブキボウフウらしい。セリ科は難しい
トウヤクリンドウ 東の空は雲海
白馬岳山頂を見上げる 白馬岳山頂
白馬岳から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
信州側からガスが吹き上げる ブロッケン現象
大雪渓はもう雲に覆われていた 白山
白い虹とブロッケン現象。ブロッケン現象は何度も見ているが白い虹を見たのは今回で2回目
イワギキョウ シコタンハコベ
イワツメクサ 下山開始時の白馬岳山頂
白馬山荘もガスの中 ミミナグサ
ミヤマコウゾリナ タカネヨモギ
イワオウギ以外の××オウギのどれか まさかウルップソウの咲き残りがあるとは
ウメバチソウ ミヤマアキノキリンソウ
イワギキョウの群落 村営頂上宿舎
ミヤマトリカブト タカネナデシコ
キオン ミソガワソウ。この時期では最も多く見られた
ベニバナイチゴの実 雪が消えた小雪渓
コンロンソウ オオバミゾホオズキ
ヨツバシオガマ 小さいがお花畑
ミヤマキンポウゲ
ウサギギク ガスの層を抜け大雪渓が見えた
葱平のシロウマアサツキのネギ坊主 イワオウギの実。やっぱり豆だ
ハクサンフウロ
タカネナデシコ ゴマナ
左岸秋道を下る 続々と上がってくる
イワオウギ ミヤマアカバナ
そろそろ大雪渓に乗る場所 ヤマガラシ
イワツメクサ
こんなところにウルップソウ 標高約1950mが大雪渓に下るポイント。対岸が見えている
雪渓歩きは数100m程度。往復ともアイゼン無しで歩いた 振り返る
右岸秋道入口 右岸秋道入口
雪渓脇の斜面はまだお花畑 シモツケソウ
ミヤマダイモンジソウ 秋道は狭くすれ違いに苦労する
延々と続々と登山者が上がってくる 大雪渓末端付近
大雪渓末端 オニシモツケ
標高1650m付近のヨツバシオガマ ニガナ
ズダヤクシュ。まだ花が咲いているのは雪渓付近だからか シロバナニガナ
タテヤマウツボグサ 葉の付け根に柄がほとんどないのがウツボグサとの違い
オオレイジンソウ サラシナショウマ
白馬尻 白馬尻から大雪渓を見上げる
カライトソウ まだまだ登山者が上がってくる
ヤマハッカ 駐車中の車は何度も見たが林道を走る車を初めて見た
ニガナに似ているが花弁数が多い。種類不明 ノコンギク
コゴメグサ。標高が高い所とは別種か? 花を拡大しても高山のコゴメグサと変わらない
長走沢 ウメバチソウ
トモエシオガマ 鑓温泉入口
猿倉入口 猿倉駐車場。満車で小日向温泉付近の駐車場まで使われていた


 今週末の天候はまあまあ良好だが、相変わらず日中の大気の状態は不安定でお昼頃には雨の予報。日曜の方が天気が安定しそうだが土曜日午前中は雨に降られる確率は低そうであり土曜日に登ることにした。降水確率は北の方が低そうなので行先は後立山北端の白馬岳とする。もう夏の花のシーズンはおしまいであり、花の種類、数とも圧倒的な白馬岳であっても種類が少ない秋の花に変わっているだろう。

 金曜夜の猿倉駐車の入りは4割程度で思ったよりも埋まっている。天気予報がそこそこいいので夜中に上がってくる車は多く、翌日下山したら駐車場は満車でこの一つ下の駐車場も満車で、やってきた登山者の車は小日向温泉近くの駐車場に誘導されタクシーで猿倉に向かっていたほどだった。

 今の時期の日の出は5時半くらいであり、写真写りを考慮して山頂到着は6時として出発は4時間前の午前2時。まだ上がってくる車がありこれから仮眠に入る状態だったが、こちらは出発だ。当然ながら他には登山者の光は無かったが、林道を歩いていると前方に光が。私より出発が早い登山者がいたようだ。あちらもおそらくまだ林道歩きのはずで時間差は15分程度だろうか。

 林道終点から登山道に入るがさすがにもう花は無い。気温はこの時期にしては高めで半袖半ズボンでも体を動かしていれば寒くはない。なお、土曜日の最高気温の予想は長野で+30℃であり、まだまだ夏の気温である。実際には長野市内では+33℃くらいまで上がっていた。

 小屋の無い白馬尻を通過して雪が消えた大雪渓沿いの道を上がっていくと前方の登山者の明かりに徐々に接近してきた。光は一つだけで私と同じく単独であるが、真っ暗な中で雪渓を歩く度胸があるとは感心である。この時期はどこで右岸秋道から雪渓に乗ってどこで雪渓から左岸秋道に乗るのは現場の状況次第であり、真っ暗で周囲が見えない状況ではルート判断は非常に難しい。このルートに慣れた私でさえも迷わない自信は無い状態で歩いており、よほど秋ルートに詳しい人でないと大雪渓周辺は夜間登山は無謀である。

 先行者との差は秋道が明瞭な区間ではほとんど縮まらなかったが、ガレてルートが不明瞭な個所で先行者の足が止まり、追い越して私が先行することに。この時期はとにかく右岸の秋道が雪の中に消えるまで、きるだけ秋道で高度を上げるのが定石である。雪渓が残っていても薄くなって雪の上を歩くのは危険だったり、雪に乗っても途中でクラックがあって雪の上でそれ以上先に進めなくなることがある。夜間では前方のクラックは見えないので、可能な限り秋道を使うのが正解である。

 秋道は秋限定のルートであり、夏まで雪に埋もれているために毎年新しく道が刻まれる状態であり、道幅は狭いしザレた斜面の中腹に付いていて足元は崩れやすく歩きにくい。雪の上の方がずっと歩きやすいのだが仕方ない。不安定な秋道を登っていると追い越された登山者との距離はぐんぐんと開いて光がかなり遠ざかってしまった。最終的には1時間位の時間差ができたのではなかろうかと思えるほど光が遠くなっていた。

 標高1900m付近で秋道が雪に溶け込む場所で雪の上に明らかな踏跡が続いており、ここで雪に乗り移る。この時期は雪と言うより氷であるが、傾斜が緩やかであること、雪面はスプーンカットで足を水平に置ける場所があるのでアイゼンを使わなくても問題なく歩けた。雪の上を歩いた距離は数100m程度、標高差は50mほどであった。雪上のルートは雪の汚れ方が周囲と異なるので足跡が残らなくても迷うことは無い。

 標高約1950mの左岸秋道は岸から岬のように砂礫が付き出した箇所で、これは例年通りの場所であった。岸に上がればもうルートの心配は無いが、部分的には道が薄いので真っ暗な中ではのほほんと歩くわけにはいかない。ただし、基本的には上に登るのではなく谷沿いのトラバースなので、迷ったら上下方向に道を探せばいい。

 ここで一時的にガスの中に入ったがそれを抜けると満天の星空。デジカメで撮影してみたが星の光ではピントが合わず、もっと明るい物体でピントを合わせてから撮影する必要があった。そうして撮影したらオリオン座の星が撮影できたが、その時の液晶画面には星は全く写らないのでレンズの向きは勘で合わせるしかなかった。

 橋のかかった沢を渡れば葱平の急な尾根に取り付いてぐんぐん高度を上げる。当然であるがこの時期の小雪渓は既に雪は消えていた。避難小屋から傾斜が緩んでお花畑の登りだがすっかり花は終わっていた。この時刻には徐々に周囲が明るくなり始め、東の空は日の出の1時間前くらいから明るくなり始めていた。お花畑は森林限界を超えているのでライトが不要な明るさになったのは日の出の30分くらい前であった。その時刻でも村営頂上宿舎の明かりは輝いていた。真西の県境稜線上には2つのライトの明かりが見えており、これだけ早朝から行動開始するということは唐松岳方面への縦走者だろう。

 村営頂上宿舎下の水場は日の出の時刻でもまだ水は出ていたが、早朝の気温がもっと下がってくると雪解けが止まって朝は水が出なくなるだろう。今回は出発時に持った100ccの水だけで不足は無かったので補給はしなかった。いつもなら村営頂上宿舎前には登山者の姿があるのだが、今回は無人で静まり返っていた。それどころか県境稜線に出ても人の姿は無かった。稜線に出ても風は弱く、毛糸の帽子と軍手、腕カバー着用で適温くらいであった。

 人に出会ったのは白馬山荘で、出発準備中の登山者が数人いた。気温は高めでおそらく+10℃を少し下回るくらいだと思うが、周囲の人は皆長袖長ズボンなのに私だけ半袖半ズボンの異世界のいでたちだ(笑)

 いつものように登りは白馬山荘前を横切って稜線東端の道を上がることに。今回は白馬山荘が営業しているので肩で日の出を見ている登山者の姿があった。もう日の出の時刻を過ぎて雲海上に日が上がっていた。南の雲海の上には霞んでいるが八ヶ岳、富士山、南アルプスは鳳凰三山〜光岳まで見えていた。雲海の高さが高いようで志賀高原は横手山、裏岩菅山付近が僅かに顔を出している程度。北信は焼山、妙高火打、高妻乙妻に戸隠連峰が見えていたが、飯縄山は雲海の下だった。

 最後の登りで白馬岳山頂に到着。まだ午前6時だが既に信州側から時々ガスが上がってくるようになり視界が悪化し始めた。しかし最初はガスは地面付近を流れるだけで上空は晴れたままであり、直射日光が当たってブロッケン現象を見ることができた。また、少しガスが濃くなってからはブロッケン現象に加えて白い虹を見ることができた。白い虹は滅多に見ることはできず、私が見たのは今回を含めて2回だけである。ブロッケン現象が出る条件は日光が当たって影ができる方向に霧が出ていること=霧のスクリーンに影が映ることだが、白い虹の出る条件は何だろうか? 虹が出ているのはブロッケン現象と同じく太陽とは反対側であり、ブロッケン現象がきれいに出る状態よりもガスが濃くなってから出ていた。完全に日光が遮られるガスの濃さでは出ないが、ブロッケン現象がギリギリ出るくらいのガスの濃さで日の高さがまだ低い朝夕に見られるのではないだろうか。今まで滅多に見ることは無かったので今後も簡単にお目にかかることはないだろう。

 まだ日帰り登山者が山頂に到着する時刻ではなく白馬山荘や村営頂上宿舎の宿泊者しか上がってこない時間なので山頂は比較的静か。1ヵ月前に登った時よりも人は少なかった。その多くは栂池方面に下っていき私を含めて少数が白馬山荘方面だった。

 タッチの差で山頂到着後はガスがかかるようになってしまい、ガスの切れ間で写真撮影しても南の稜線には雲が絡んだままでベストな写真とはいかなかった。東の空も雲海が高くて最も遠くまで見えていた山は苗場山まで。立山、剱岳の山頂付近も雲が絡んだままだった。上空は青空なので稜線だけ雲が湧いているようだ。しかし時間経過と共に雲の層は厚さを増して、下山時には葱平付近まで覆っていた。ただし気温は相変わらず高めで風は弱かったので防寒装備は真夏並みと同じで大丈夫であった。

 ガスが濃い中を下山開始。今日は本当に人が少なくて白馬山荘までの間どころか村営頂上宿舎までの間で誰ともすれ違わなかったのは初めてかも。この間で咲き残っていた花はイワツメクサ、シコタンハコベ、イワギキョウ、トウヤクリンドウ、ウサギギク、ミヤマアキノキリンソウ、ミミナグサ、ミヤマコウゾリナ、ヒトツバヨモギ、タカネヨモギ、ウメバチソウ、ミヤマキンポウゲ、ウルップソウ、××オウギ(種類不明)、セリ科の複数の何かなど。お花畑ではミヤマトリカブトがほとんどで、標高が下がるとミソガワソウが主流となった。

 雪が消えた小雪渓以降は遅くまで残っていた雪の影響か、ミヤマキンポウゲ、コンロンソウ、オオバミゾホオズキ、ヨツバシオガマ、イワオウギ、ヤマガラシ、ウサギギク、ハクサンフウロなど夏の花がまだ咲いていた。

 葱平付近から登りの登山者と多くすれ違うようになる。ここはガスの下で視界が開けて大雪渓上のルートが見えるが短かった。傾斜が緩く短い距離でもほぼ全員がアイゼンを装着して歩いていたが、私は面倒なので下りでもアイゼン無しで下った。下りの方が滑りやすく1回コケてしまったが、この時期の雪渓表面は土で汚れているのでザックやズボンのお尻が泥だらけになってしまった。ただし登山口到着までに乾いたので大部分の土は叩き落とすことができた。大雪渓の左岸側/右岸側ともアイゼンを脱着する登山者で賑わっていた。なお、出発時に6本爪の軽アイゼンを持ったはずであったが、下山後に車の後部ハッチを開けたら軽アイゼンが転がっていた(汗)。

 右岸秋道に移って谷沿いの急斜面にはまだ夏の花のお花畑が広がっていた。狭い道なのに上がってくる登山者が非常に多く、すれ違い可能な場所が限定されて待ち時間が馬鹿にならないほどであった。おそらくこの夏で最もすれ違った登山者が多く、200人は超えていただろう。すれ違う登山者数は白馬尻に到着する頃には落ち着き、その後は団子状態になっていることはなく疎らであった。これだとすれ違いが楽である。

 林道に出て林道を下っていると軽ワゴン車が上がってきた。この林道の終点に駐車している車は当然のように何度も見ているが、走行している車を見たのは初めて。林道の出だしの方は路面状況が悪いので普通車だと運転に注意が必要だろう。

 往路では真っ暗で分からなかった林道歩きでも日中は花を見かけた。意外にもこの標高でウメバチソウ、コゴメグサ、トモエシオガマがあったのには驚いた。

 猿倉分岐を通過してそのまま林道を歩いて猿倉駐車場到着。山頂を見上げても雲に覆われて稜線は見えなかった。駐車場には数台の空きがあるがほぼ満車。開いた箇所は私のように今朝下山した人の車だろう。山の上はガスに覆われていたが山から少し離れると太陽が顔を出しており、雲があるのは山の周辺だけらしい。車のドアを全開にして熱気が篭った車内の空気を入れ替えつつ着替えて濡れタオルで汗を拭う。今日は下山時は概ね曇りで汗をあまりかかなかったので長走沢で水浴びはしなかった。

 駐車場を出て下界へ向けて車を走らせると一段下の駐車場も満杯状態で、発電所のある二股では下界からやってきた登山者の車をここにある駐車場に誘導する姿あり。上部の駐車場が満車の場合はこの駐車場が使われるのだが(満車注意の看板が出ている)、実際に使われているのを見たのは今回が初めてであった。ここは定期バスが通っているが本数は少ないので基本的にここからタクシーに乗り換えである。既にタクシーがいたので上部が満車になったら連絡が行ってタクシーが常駐かもしれない。

 

山域別2000m峰リスト

 

ホームページトップ